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「春は曙。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、
紫だちたる雲の細くたなびきたる。」

中学生の頃に暗記した『枕草子』。
春は、曙。

不規則な生活をやめて、就寝するのを早めたら
夜明け近くに自然に目覚めるようになった。
カーテン越しに、外がまだ夜と同じ暗さを保っていることが解る頃から
起きるでもなく、寝るでもなく。
夢と現の間から徐々に目覚めながら、同時にゆっくりと夜明けを迎える
春の曙。この一瞬がとても好きなのだと最近、改めて思った。

私が、本格的に起きるのは、鳥の声と同じ頃。
鵯のはっきりした声や、何の鳥か解らないような小さな声。
ここ最近は、鶯の声がよく聞える。

カーテンを開けて、窓を全開にして。
外の明るさに目を細めながら、まだ少し冷たい空気を吸う。

今日は、庭の木の梢に鶯がいた。

   ホーケキョ。ケキョ。・・・ヶ・・・ヶキョ。

まだ上手く、「ホーホケキョ」という鶯独特の鳴き方ができないらしい。
ひとしきり、「ヶキョ」の部分を繰り返し、その後「ホーホケキョ」の練習。

鳥が、鳴く。という、当たり前すぎて、注意を払うことのない日常世界に
こんなにも、隠れた努力があったのだ。と気付く。

あと少しで、桜の季節。
本格的な春が訪れた時、家の庭で鳴く鶯は、果たして努力実って
「ホーホケキョ」
と上手く鳴けるのだろうか。楽しみだ。

庭先の鶯が飛び立った先に見える白い花。
隣家の庭先に咲く木蓮の白さが、周りの緑に囲まれて際立っていた。
あの、鶯はあの木蓮の中でまた練習するのだろうか。
どこかから、沈丁花の甘い香りが風に運ばれてきて、一瞬の後、空気に溶けていった。

今日も、また平和な朝でした。


2008,03,19, Wed 16:02
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さろんぱす。…ではなく。

先日夜道を歩いていたときのことです。
道の真ん中に、見慣れない黒い物体が見えました。
(こんな所にこんな大きい石なんかあったら、邪魔だよなー)
と思いながら、足早に横を通り過ぎようとしたそのとき。

石が動いた!

思わずびくっとして、おそるおそる石を観察すると。

…蛙でした。

これだけなら、まだ「うへぇ、私蛙ダメなんだよな」で終われたのですが。

そこから30m程歩いていくと、電柱のそばに黒い染みのようなものが見えました。
(あ、道が濡れている)
と思いながらも、特に深く考えずその横を通り過ぎようとしたそのとき。

水たまりが身じろぎしていた!

……これも蛙でした。

「ぎゃー」と思いながらもヤツと目を合わせないように通り過ぎ、角を曲がったそのとき。


………なんと、またもや蛙が道でうずくまっていたのです。

こわかった。めちゃくちゃこわかった。
こわすぎたからかなんなのか、中学のとき理科の先生が
「蛙の解剖?誰かがその辺で人数分捕まえてきてくれたらやってもいいぞー」
と言ってたのを思い出していました。(幸運なことに、そこまでして蛙の解剖をやりたがる猛者は私のクラスにはいませんでしたが)

春って、動物達が冬眠から目覚める季節なんだな、ということを再認識しました。
ちなみに昨夜はタヌキのような生き物(でも多分タヌキじゃなかった。ハクビシンぽかった)に遭遇しました。
…雑司が谷って、東京ですよね?

うーん、もっと



↑の畳をゲットしてここへ運ぶに至るまでの話とか



履歴書の卒論テーマの欄を見た友人に
「なんでこんな暗い話で卒論書こうと思ったの…?」
と言われて
「えっ、暗い?暗いって、いやそんなこと……も、あるね」
と思った卒論で扱う作品↑の話とかを、書こうかなと思っていた気がするのですが。

…うん、まあ以下次回へ続く(かもしれません)!ってことで。

2008,03,18, Tue 22:50
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志望していた企業に落ちた。

その会社に友達は受かっていた。

悔しくて、自分でもびっくりするくらいに発狂した。

そのまま39度の熱を出した。

もうこのまま虎になるんじゃないかと思った。

意識が朦朧とするなか、一人で病院に行った。

急性胃腸炎だった。

点滴を受けながら、病室の冷たい天井に聞く。

「なんで私はだめなの?」

天井は言う。

『お前はいいじゃないか。

落ち込んでも、上を向いて、深呼吸すれば、

また前を向いて進むことができる。

俺は、いつでも下を向いていることしかできないんだ。』

そっか。そうだよね。

『ボクなんて下にしか進めないよぅ~!』

私の体に向かって管を下りてくる点滴の液は言う。

そうだよね。

『甘えたこと言ってるとめった刺しにするぞ!!』

私の腕から半分顔を出した針が言う。

すっ、すんません。



シャーッ。カーテンが開く。

「はーい、もう帰って大丈夫ですよー!」


大丈夫。大丈夫。

来たときよりも少しだけ温かい病室を出て、わたしは、上を向いて大きく息を吸い、また前を向いて歩き出したのでした。

2008,03,17, Mon 23:19
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突拍子もないタイトルですが(笑)


実はこの間、世田谷文学館に初めて行って来たのです。
一番の目的は、常設展に今月まで公開しているムットーニの作品を見るためです。
「ムットーニ」こと武藤政彦氏は自動人形師です。彼の作る自動人形の世界は、独特の美があって以前から好きだったのですが、作品を生で見る機会がなかなかなくって。。。
今回は文学館の展示とのコラボで、世田谷の文学者の作品を自動人形で表現したものでした。
萩原朔太郎の『猫町』、中島敦の『山月記』など6点が展示され、時間ごとに上映してくれました。
下はポストカードを撮ったモノ下

萩原朔太郎『猫町』




中島敦『山月記』






さてさて本題。そう、企画展で、「永井荷風のシングル・シンプルライフ」をやっていたのです。これがなかなか面白くって!
そもそも、ナガイカフウって誰??と思われた方もいるかも知れません。高校では、名前くらいは触れても漱石や鷗外ほどにメジャーな存在ではないと思います。

永井荷風は明治30年代に、『地獄の花』という自然主義の小説から出発した人です。
それが、アメリカやフランスで近代社会と芸術に触れ、耽美的な作品を生み出していきます。『あめりか物語』『ふらんす物語』『すみだ川』『濹東綺譚』などの作品がありますが、実は私が読んだことがあるのは『濹東綺譚』だけです汗
でも今回の展示で、荷風の生き方とか、生活スタイルは素敵だなと感じました。
荷風流のシングル・シンプルライフの十箇条っていうのがあって、以下のようなものでした。

1、毎日、ブログ(日記)を更新
2、スイーツはひとりじめ
3、ウォーキング(散歩)で身体を鍛える
4、ガーデニングで自然に触れる
5、シンプルクッキングで栄養のバランスをとる
6、趣味はカメラ
7、気に入ったレストランは徹底活用
8、金銭管理はしっかりと
9、若い異性とつきあう
10、読書は長い友達

これらを実践していた様子は、四十数年に及ぶ日記『断腸亭日乗』から窺えます。スケッチも入っていて、文字の達筆さと絵の上手さにも驚きでした。
しかし、なんて今風な生活なんだ!と思いませんか?
現代の私たちが見習いたい部分がたくさんある。
荷風は、お正月の朝をショコラとクロワッサンで迎えるというくらいの人だから、本当に西洋的な生活を好んでいたのでしょう。
とても魅力的で面白い作家だなと改めて思ったので、他の作品にも手をのばしてみようと思います。

4月から、本学日文へ入学される方も、この春休みに興味のある本など、たくさんの作品に触れてみることをオススメします!
文学館などで作者について知るのも面白いですよ。
私も平安時代の作品を主に学んでいるので、ついついそちらばかりに傾倒してしまいがちで、その他の時代の作品に疎くなるのですが、こういう企画展を見ると、その作者が今までより身近に感じられるので、興味を掻き立てられます。
知りたい!とか、学んでみたい!という意欲は、どれだけその対象を身近に引き付けられるかによると私は思っています。
好きな人のことなら、もっと知りたいloveって思うのと同じようなものですね(笑)
春のうららかな散歩日和には、文学館や色々な展示を利用してみて下さいねチューリップ

そして、文学館でのサプライズな出来事。
たまたま、日経新聞が企画展を取材に来ていたんです。そのため、来客者が展示を見ている様子を写真に撮っていました。何回かシャッターを切っている音は聞こえてきましたが、私は展示に夢中だったので(笑)あまり気にせず。
ところが、展示を十分楽しんで、会場を出ようとしたところで、日経新聞の記者から「この展示の感想を記事にしたいので、ご協力頂けませんか。」と声をかけられたのです。
突然でびっくりはしましたが、「私の感想で役に立つかは分からないけれど、それで良ければ構いません。」と承諾。

そもそもはムットーニ目当てできたこと。でも荷風の展示を見て、自分が抱いていた荷風のイメージと違ったこと。特に生活スタイルについては、見習いたいものがあること。『断腸亭日乗』が荷風のリアルな日常を伝えていて面白かったことなどを、記者からの質問に答えるという形で感想として伝えました。

さてさて、どんな記事になっていることやら。。。

***オマケ***
文学館でお買いあげの品々下



2008,03,16, Sun 20:56
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