突拍子もないタイトルですが(笑)
実はこの間、世田谷文学館に初めて行って来たのです。 一番の目的は、常設展に今月まで公開しているムットーニの作品を見るためです。 「ムットーニ」こと武藤政彦氏は自動人形師です。彼の作る自動人形の世界は、独特の美があって以前から好きだったのですが、作品を生で見る機会がなかなかなくって。。。 今回は文学館の展示とのコラボで、世田谷の文学者の作品を自動人形で表現したものでした。 萩原朔太郎の『猫町』、中島敦の『山月記』など6点が展示され、時間ごとに上映してくれました。 下はポストカードを撮ったモノ 萩原朔太郎『猫町』 中島敦『山月記』 さてさて本題。そう、企画展で、「永井荷風のシングル・シンプルライフ」をやっていたのです。これがなかなか面白くって! そもそも、ナガイカフウって誰??と思われた方もいるかも知れません。高校では、名前くらいは触れても漱石や鷗外ほどにメジャーな存在ではないと思います。 永井荷風は明治30年代に、『地獄の花』という自然主義の小説から出発した人です。 それが、アメリカやフランスで近代社会と芸術に触れ、耽美的な作品を生み出していきます。『あめりか物語』『ふらんす物語』『すみだ川』『濹東綺譚』などの作品がありますが、実は私が読んだことがあるのは『濹東綺譚』だけです でも今回の展示で、荷風の生き方とか、生活スタイルは素敵だなと感じました。 荷風流のシングル・シンプルライフの十箇条っていうのがあって、以下のようなものでした。 1、毎日、ブログ(日記)を更新 2、スイーツはひとりじめ 3、ウォーキング(散歩)で身体を鍛える 4、ガーデニングで自然に触れる 5、シンプルクッキングで栄養のバランスをとる 6、趣味はカメラ 7、気に入ったレストランは徹底活用 8、金銭管理はしっかりと 9、若い異性とつきあう 10、読書は長い友達 これらを実践していた様子は、四十数年に及ぶ日記『断腸亭日乗』から窺えます。スケッチも入っていて、文字の達筆さと絵の上手さにも驚きでした。 しかし、なんて今風な生活なんだ!と思いませんか? 現代の私たちが見習いたい部分がたくさんある。 荷風は、お正月の朝をショコラとクロワッサンで迎えるというくらいの人だから、本当に西洋的な生活を好んでいたのでしょう。 とても魅力的で面白い作家だなと改めて思ったので、他の作品にも手をのばしてみようと思います。 4月から、本学日文へ入学される方も、この春休みに興味のある本など、たくさんの作品に触れてみることをオススメします! 文学館などで作者について知るのも面白いですよ。 私も平安時代の作品を主に学んでいるので、ついついそちらばかりに傾倒してしまいがちで、その他の時代の作品に疎くなるのですが、こういう企画展を見ると、その作者が今までより身近に感じられるので、興味を掻き立てられます。 知りたい!とか、学んでみたい!という意欲は、どれだけその対象を身近に引き付けられるかによると私は思っています。 好きな人のことなら、もっと知りたいって思うのと同じようなものですね(笑) 春のうららかな散歩日和には、文学館や色々な展示を利用してみて下さいね そして、文学館でのサプライズな出来事。 たまたま、日経新聞が企画展を取材に来ていたんです。そのため、来客者が展示を見ている様子を写真に撮っていました。何回かシャッターを切っている音は聞こえてきましたが、私は展示に夢中だったので(笑)あまり気にせず。 ところが、展示を十分楽しんで、会場を出ようとしたところで、日経新聞の記者から「この展示の感想を記事にしたいので、ご協力頂けませんか。」と声をかけられたのです。 突然でびっくりはしましたが、「私の感想で役に立つかは分からないけれど、それで良ければ構いません。」と承諾。 そもそもはムットーニ目当てできたこと。でも荷風の展示を見て、自分が抱いていた荷風のイメージと違ったこと。特に生活スタイルについては、見習いたいものがあること。『断腸亭日乗』が荷風のリアルな日常を伝えていて面白かったことなどを、記者からの質問に答えるという形で感想として伝えました。 さてさて、どんな記事になっていることやら。。。 ***オマケ*** 文学館でお買いあげの品々
2008,03,16, Sun 20:56
【 文学・語学 】 comments (x) trackback (x) |