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ランが死んだ?



土曜日の夜、アルバイトを終えて携帯を手に取ると、

一通のメールが届いていた。

「頑張りました」という件名の、母からのメールだった。


「らんが死にました。とても静かに逝きました。」


目の前が真っ暗になった。

ラン?

もう会えないの?

なんで?

嘘だよ、と思って携帯を閉じる。

だってこんなにはっきりとイメージできる。



実家に帰って、居間の庭が見える窓際の席に座って、カーテンをちょっとめくったら、

小屋から出てきているランと目が合う。

「ご飯ちょうだい(´・ω・`)」

と訴えるランの目を見て、

「ご飯?欲しい?…あげなーい♪(´ω`)」

いじわるを言ってみる私。


もふもふしたランの額をなでるときのあの手触りも、簡単に思い出せるのに。

嘘だよ。

ラーン?

心の中で何度も呼んだ。

ランが死んだ

ランが、死んだ?

「ランは、もういない」

頭の中で何度も書いた。

次に家に帰ったとき、同じ場所に座ってカーテンをめくっても、見えるのは空っぽの犬小屋。

「ランは、もういない」

この事実と、頭に浮かぶランの顔がぴったり重なったとき、涙が溢れて止まらなくなった。

駅から家まで歩きながらワンワン泣いた。

当たり前の日常の中にあった大きないのちが消えてしまった。そのことが恐ろしいほどに淋しくて、涙が止まらなかった。

でも私はきっと、空っぽになった犬小屋を見るまでは、本当にランがいなくなったことを実感できはしないんだと思う。

だから私のランとのお別れはまだ先。それまではとりあえず、目の前にあることを全力で頑張ろう。


月曜日は卒論ゼミの発表だったので、翌日はランのことを思い出しては泣き、思い出しては泣きしながら、準備をした。

涙に濡れたレジュメは、みんなからの厳しい突っ込みでカラッカラに乾きましたとさ。

まったく容赦ないぜ(●´ω`●)

2008,06,30, Mon 23:03
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