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2月某日。
私はちょっとしょんぼりしていた。
何故か。
友達は就職なり進学なり、何かしら4月から進む道が決まっている人がほとんどなのに、私はまだこの時何も決まっていなかったからである。

思えば、他人の言うことに心を乱されながらも流され切って自分のやりたいことを諦めることも出来ず、極めて中途半端に終了。それが私の就職活動の日々だった。
親の負担とか、自分の望む職業の厳しい現状とか、色んな現実を実感して、私は今まで何をやってきたんだろうとしょっちゅう落ち込んだ。
キャリア支援課の傍を通るのが怖かったし(一時期は真剣に、一般企業の就活してないような人間は「このご時世に…ちょっと馬鹿なんじゃないの?」というような目で見られるのではないかと思い込んでビクビクしていた)教室でスーツ姿の人を見るのも辛かった。

1番嫌だったのは、自分の将来を考えているはずなのに気付くと
「本当はどういう道を選ぶことを望まれてるんだろう」
「どう生きていったら、親の負担にならずに済むんだろう」
という風に考え始める自分自身がいたこと。

自分に自信がなくて。

あなたの人生なのだから、あなたが思うように生きればいい。

そう言ってもらえた、その言葉も、泣きたくなる程嬉しかったのに心の底から信じ切ることが出来なくて。

自分が今まで過ごしてきた時間が、本当は全部無駄なものだったんじゃないかとさえ思えてきて。

馬鹿みたいに落ち込んで落ち込んで、身動き出来なくなった。

……というのが一番病んでいた時の精神状態(苦笑)

2月某日は流石にそこまで酷くはなかった(と思う)んだけど。
2月出願の大学院入試にむけて必死に最後の悪あがきに勤しんでいた所で、若干ナーバスにはなっていた。

そんなときにサークルの友達と会う機会があり、たまたま帰りがけに護国寺の前を通った。

「私、就活で一番辛くてグルグルしてた時に一人でここ来たんだ」
「あっ私も来た!」
一緒にいた友達がそんな話で盛り上がり出したので
「私は今なおグルグルしてる…そして護国寺ってまだ一度も入ったことないや」
と言ってみた所
「えっ、じゃあちょっと寄ってく?」
と誘われた。

その瞬間、本当は早く家に帰って勉強しなきゃとずっと思っていた筈なのに「うん」と頷いていた。

よく目の前を通るけれど、一度も入ったことのなかった境内は思っていた以上に広かった。

「あっ、あれ桜じゃない?」
「えぇ?まだ咲くには早いでしょ。違うんじゃない」
「でも、あの枝が桜っぽいと思うんだけど…」

「あっ猫!猫がいる!!」
「本当だ!にゃんこ先生ーー!!」
「あれ、向こうでも二匹ひなたぼっこしてるよー」
「かわいいなぁ…って、あっこいつ撮ったら携帯の電池切れたからもう写メれない」
「私は今日携帯忘れたから無理」

「この大仏、いい表情してはるわー」
「〇〇(サークル同期の男子)に似てるね」
「「…確かに!」」

「あー小銭ない」
「恵んであげるよ、はい」
「ありがとうー」

ちゃりーん

「私おみくじ引くー」
「私は小銭ないから無理…」

「おっ大吉!!」
「おぉ、よかったね」
「…でも書いてあることが、若干世知辛い感じなんだけど」
「いいじゃん大吉なんだから。ほら、今年は安産だってさ」
「女の子らしいよ。よかったねー」
「……」

他愛ない会話を重ねて、笑い合って。
友達の引いた大吉を木の枝に結び付けて、まだ丸まっている猫にじゃあねと声をかけて、石段を下りると。

少し、気持ちが上向きになった自分を感じた。




2月末日。
雪が降る中、自分が院試に受かったことを知った。

4月になったら、また護国寺へ行こう。今度はちゃんと小銭を持っていって、私もおみくじを引いてみようか。


その頃にはきっと、護国寺の桜は満開だ。
2009,03,11, Wed 20:24
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