画像の本は、角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスシリーズの中の2冊、『和泉式部日記』『更級日記』(ともに川村裕子編、角川書店)です。 今年度授業をとった先生が書かれたというのもあったのですが、何より表紙がすごく可愛かったので思わず買ってしまいました。 そんなわけで、今日はまず『和泉式部日記』のほうを読んでみました。 普通に原文と現代語訳が全部入っているのかと思ったらそうではなく、現代語訳の合間に原文の引用があり、章ごとにコラムが付いているといった構成。 だから読み終わるのに思ったより時間がかかりませんでした。 イラストや写真なんかも多く載せられていて、まさにビギナーズ向けといった感じ。また、作品世界の解説部分に『和泉式部日記』関連の書籍として現代語訳の本や注釈書だけでなく漫画・ライトのベルなんかまで紹介されているのには正直驚きました! (木原敏江が『和泉式部日記』を題材に漫画描いてるなんて知らなかったです…今度買おう。) 以下の部分が特に印象に残りました。 暗きほどにぞ、御返りある。 (宮)「ひたぶるに待つとも言はばやすらはでゆくべきものを君が家路に おろかにや、と思ふこそ苦しけれ」とあるを、 (女)「なにか、ここには、 かかれどもおぼつかなくも思ほえずこれも昔の縁こそあるらめ と思ひ給ふれど、なぐさめずは、つゆ」と聞こえたり。 私の思いをあなたがいい加減なものと思っているのがつらい という帥宮敦道親王に対して、和泉式部は あなたとは亡き兄君との縁で繋がっているのだから寂しくはありません と強がりつつも、最後にぽつりと なぐさめずは、つゆ 「あなたが慰めて下さらないと、私の命は露のように、すぐにでも消えてしまいそう…」という意の和歌の一部を引用(引歌といいます)。 ビギナーズ・クラシックスではこの引歌を「歌の塩辛さを薄めてしまうような甘い甘い調味料」と評しています。 和泉式部ってすごい。そしてツンデレだ。 今まで『和泉式部日記』をまともに読んだことはなかったのですが、じっくりと向き合ってみたくなりました。 明日からはいよいよ日本女子大学の一般入試が始まりますね。 日文を受験される方は……って明日ですね!! 前日担当だから何かアドバイス的なことを書こうかとも思ったのですが、この前のちこちゃんの記事がすごく綺麗にまとまってた上に私の言いたかったことも書いてくれていたので止めました。 代わりに本を紹介してみました。 既に受験を終えてしまった人、これから受験を経験するであろう1、2年生。 そして勿論、明日からの入試にのぞむ皆さん(受験が一段落したら是非)に…。 なんか帯には「受験生必備フェア」とか「これ一冊で合格間違いなし」とかあるのですが、私はこの本は受験対策としてよりもむしろ 「古文って、何だかとっつきにくいんだよなー…まず読む気がしないし、つまんない」 って思ってるような人にこそ読んでもらいたいです。古文ってホントは面白いよ!! ……あ、あとテストが終わってほっとしてる大学生とかにもオススメですね(笑)
2008,01,31, Thu 22:05
【 文学・語学::中古文学 】 comments (x) trackback (x) |