東京大学の大学院生による、「とはずがたり」の発表を
聞きに行ったときのことです。そのときちょうど私たちが 授業で読んでいた「とはずがたり」。思えば、私たちは 女子大の学生なので、女子の視点からしか読んだこと がなかったのです。それを東大の院生(それも男の人) がどう解釈し、どのように発表するのか、興味津々で 会場へ向かいました。 それにしても東大・・・広いっ!やっとのことでたどり着 いた会場は、 え?ホテルのロビー??ヽ(*゜ω。)ノ 結婚式も行われるという、とても綺麗な建物でした。 実は私、学生同士で行う軽い勉強会のようなものを想 像して行ったので、まずその会場の豪華さにびっくり! (゜Д゜;)ブルブル そしてさらに集まってくる凄そうな人達と、そのわりに 狭い会場がかもし出す圧迫感に、 チキンの私はKO寸前でしたヽ(;´Д`)ノ その凄そうな人達は、実際に凄かったんです! 面白い授業で大人気の教授だったり、私たちが いつも使っている注釈書を書いた人だったり、 授業で読んだ論文を書いたご本人だったり! 「ふぉぉぉー注釈書の人だー。(゜Д゜;) 」 「むひゃーあの論文の人が隣に!(゜Д゜;) 」 終始そんな感じの私。途中でどうして自分が この場所にいるのか分からなくなりました。 「きっ、緊張してきました…。(。☉_☉)」 と一緒にいた院生の先輩に助けを求めると、 「あなたが発表するわけでもないのに?!」 と苦笑されてしまいました。 う、ごもっとも・・・(。☉_☉) そして私の緊張も最高潮に達したところで、発表が 始まりました。テーマは、『とはずがたり論』―父の死 を生きる二条―。 授業では、その父が死んで50日過ぎたあたりだった ので、まさにタイムリー。内容が分かっていると、とても 楽しい!資料の見易さ、発表の分かりやすさはものす ごくて、感動していました。 しかし、ちょっと気になることが一つ。 ・・・・ん?二条って、こんなにけなげでいい人だったっけ? プライドが高くて計算高いしたたかな女二条はどこへ? ∑(゜Д゜)はっ! これが、うわさに聞いていた「男読み」か! 『とはずがたり』には、男の人と女の人によって、その 読み方に違いが現れることがしばしばあるようです。 例えば、男の人が「大人しくて清純そう。」と頬を赤らめ るような人が、女から見たら「どこがー!!計算じゃん!」 と思うことってありますよね?その現象が、この作品を読む 中で現れるということなのです。 つまり、このまじめそうな院生のお兄さんは、 二条に騙されてしまっているー…、と。残念ながら、 そういうことです。 論文の先生にそのことに関して突っ込まれた時にも、 その院生のお兄さんは、「そんなこと考えてもみなか った!」といった顔で聞いていました。その人にとって 二条は、古き良き時代の女、だったのかな、と思いました。 授業でさんざん先生から「二条に騙されてはいけない。」 と言われて読んで、確かに文章の至る所に現れていた 二条の本性。それに気がつかない男の人ってやっぱり いるのか!と、現実を目の当たりにして感動してしまい ました。 女って、男の人が思っているよりもずっと強くてしたたか なんですよ…ね♪(●´艸`) 大学で勉強して物語を読む本当の面白さも知ったけれど、 「物語を読む人を見る」面白さもあるんですね!その人 自身のカラーが見えてくる。発表によって見え方がぼん やりだったり、はっきりだったり…。 そして『とはずがたり』はそれが顕著に現れるので、 とても面白いんだなーと思いました! 大大大満足で帰宅した私。最初の緊張から疲れが出た のか、ご飯を食べてお風呂に入って、その日はすぐに 寝てしまいました。チキンって嫌です、ほんと…。
2006,12,04, Mon 23:49
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