あまりりす息もふかげに燃ゆるときふと唇はさしあてしかな
北原白秋『桐の花』 もう六月とは早いものですねぇ。アマリリスはこの時期に咲いてると思うんですが・・・違うかな。とても綺麗な歌ですよね。 さて。昨日はあずさ先輩が教育実習のことを書いていましたね。4年生は教育実習ですが、3年では介護等体験があります。私も今月の2日と7日に、視覚特別支援学校で介護等体験をさせていただきました 視覚障がいをもった人を補助することを、「手引き」といいます。介護体験初日は、学生同士二人一組になり、手引きの練習をしました。午前中は校内で、午後は電車に乗ったり、池袋駅の構内も歩いたり!ドキドキしたけれど、とても勉強になりました。 では、手引きの仕方を少しご紹介しましょう まず、手引きする人は腕を真っ直ぐ伸ばし、体にくっつけます。体と腕が離れると、二人の間の幅が大きくなり、路上のモノにぶつかったり、何かに躓いたりしてしまうからです。手引きされる人は、右手で白杖を持つので、左手で、手引き者の右腕のひじの少し上あたりを持ちます。このとき、左手は直角に保ちます。これも手引き者との距離を一定に保つためです。階段では、上りか下りかを伝え、手引き者が先に進みます。触れている腕から、段差が伝わり、安心して進めるからです。階段が終わったら、一回足を止めます。段差があるのかないのかわからないと怖いですものね。 他にも細い道の通り方や劇場などで席に着く場合の練習、電車とホームの間など、溝をまたぐ場合の練習もしましたよ! 初めてアイマスクをして歩いた感想は、少し怖いのと同時に、誰かに導いてももらう安心感もかんじました。 もちろん、ドキッとしたり、あれれ?!と思ったりしたこともたくさんありました。たとえば初めて角を曲がるときは一回転してるんじゃないか、という感覚になったり、細い道を通るよ、といわれ、ドキドキしていたら、実は教室の椅子と壁との間を歩いていただけだったり。あと、池袋でいきなりエスカレーターに乗ったのも怖かったです。 それから、五感が鋭敏になる、ということも実感しました。例えば階段。音の響き方と、風の通り方が廊下とは全く違うのです。ふおぉ~っと吹き上がってくる風や、先生の声の響き方がいつもよりハッキリ感じ取れました。生徒さんたちは、交差点などでこういうふうに風の流れを感じ、道を判断するのだそうです。 二日目はスポーツ大会に同行させていただき、生徒さんの手引きをしました。みなさん歩くプロですから、不安だった私もずいぶんと助けられました(^^;;)休み時間は部活や勉強のこと、進路のことなど、いろんな話ができて楽しかったです 大会参加者は年齢も障がいも、運動経験もさまざま。学校の授業で練習を積んできた人から、パラリンピックに出場するほどの実力を持ったアスリートの方まで、よく晴れた空のもと、みんな気持ちよさそうに運動を楽しみ、記録を競っていました。本当にいい体験をさせていただきました。貴重な時間を私たちのために割いてくださった先生方や生徒の方々に感謝です。 最後に、印象的だった話。 駅の構内や道に、黄色いブロックがありますよね。視覚障害者誘導用ブロックといいます。私も、アイマスクをして、白杖でブロックに触った時は普段以上にその存在に安心しました。けれども、実はブロックだけでは、どちらの方向へ進めば、どこへ行けるのかがわからないのです。また、景観に配慮して、床の色に合わせたブロックは、弱視の人にとって見えづらいことがあるそうです。…ちょっと複雑な気持ちになりました。 ブロックはとても役に立つ、大切なものです。でも、それが視覚障がいを持つ人にとって、最善で、全く問題がないかといえば、そんなことはない。 ではどうすればいいのか。 私には専門的なことはわからないし、大したことはできないのかもしれない。 唯一できることがあるとしたら、困っている人を見たら声をかけること。人と人とのつながりが一番確かで、温かいものなんじゃないかと思うのです。 みんなが安心して、心地よく生活できる社会にしたいですよね。
2008,06,09, Mon 21:26
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