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本日22日、金曜日。
先週のバレンタインから早一週間。

そう、このバレンタイン。とある女のコが、思い切って想い人に告白をした。



その女のコは、生まれてこのかたきちんと恋をしたことがなかった。
家族がいて、友達がいて、それで満足だった。
別に不満はなかった。
だって無くても幸せに生きてこれたのだ。
だから自分にはきっと遠いものなのだと思ってた。



そんな女のコが、恋をした


生まれて初めてだった
まさか!と思った
一晩中考えた
考えて考えて考えて

こんなに想ってしまうのなら
きっとこれがそういう事なのだろうと思った


話せることが嬉しかったり
メールに一喜一憂したり
好きな人の事を一つ一つ知っていけることが
すごく嬉しくて
すごく楽しくて

世界はこんなにも輝いているものなのか!と本気で思った


全部が初めてだった
恋も自分の想いも彼のことも
もっと知りたいと思った
もっと近くにいれたらと思った

想いはただただ募るだけだった



女のコは、もうすぐ引っ越さなければならなかった

どうすればいいか、わからなかった

想いだけでも伝えたいと思った

どうやったら伝わるか考えた

カレンダーを見たら、3日後がバレンタインデーだった

これだ!と思った



女のコはお菓子作りなんてした事もなかった
それでもなんとか粉まみれになりながら、いびつな形のクッキーを作った
女のコのお母さんや妹は驚いていた
弟は呆れていた
父は何故か喜んでいた


ラッピングも真剣に悩んだ
渡すなら赤いハートの箱だろうと思った


周りから見たらその必死な姿は大層滑稽だった
やめておけと言う人もいた

失笑を買っても、その女のコは真剣だった
ただただ一人だけを馬鹿みたいに真剣に想っていた


ずっと想っていた




バレンタイン当日は、風の強い日だった

寒さだけじゃない震えを抑えながら

女のコは袋を差し出した


震えが伝わらないように

指にも触れなかった


顔があげられなかった

月と星だけが、見ていた




静かな声だった






女のコの想いは 届かなかった




そうして女のコは、2日後に引っ越して行った









女のコは泣かなかった。

いっぱい楽しいものを貰ったのだ。

満月のエピソードも
くまのぬいぐるみも
一緒に見た映画のチケットも
たくさんの会話も

嬉しかったのだ。

優しい彼と一緒に過ごした全てが
本当に本当に大好きだったのだ。

「ありがとう」の言葉だけで充分だった。

出会えて良かったと思った。

好きになって良かったと思った。

引っ越して離れても、きっともう会えなくても
一生忘れないだろうと思った。

おばあちゃんになっても
ずっと覚えていようと思った。


悲しい気持ちなんてなかった。

後悔もしていなかった。

ただただ、彼を好きな気持ちと、充足感だけが残っていた。



だから、一週間も過ぎた今日、初めて頬をつたう涙の理由が

女のコにはさっぱりわからなかった。

2008,02,22, Fri 17:00
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